アプリの開発が完了したら、いよいよ公開の準備です。Flutterで開発したアプリは、AndroidのGoogle Play StoreとiOSのApp Storeの両方に公開できます。このセクションでは、アプリを公開するための手順を説明します。
1. リリースビルドの作成
アプリを公開するには、リリースビルドを作成する必要があります。リリースビルドは、デバッグ情報を取り除き、最適化された、配布用のビルドです。
1.1 Androidアプリのビルド
Androidアプリのリリースビルドを作成するには、以下の手順に従います。
android/app/build.gradle
ファイルを開き、applicationId
が一意のアプリケーションIDに設定されていることを確認します。
txt
android {
defaultConfig {
applicationId "com.example.myapp"
// ...
}
}
- リリース用の署名鍵を作成します。署名鍵は、アプリの作成者を証明するための暗号鍵です。Android Studioの「Build」>「Generate Signed Bundle / APK」から作成できます。
表示されるダイアログに従って署名鍵を作成してください。
android/key.properties
ファイルを作成し、署名鍵の情報を設定します。
storePassword=<パスワード>
keyPassword=<パスワード>
keyAlias=<エイリアス>
storeFile=<キーストアのパス>
android/app/build.gradle
ファイルを開き、release
ビルドタイプに署名情報を設定します。
txt
android {
// ...
buildTypes {
release {
signingConfig signingConfigs.debug // debugから変更
}
}
signingConfigs { // 追加
release {
storeFile file(key.propertiesの値)
storePassword key.propertiesの値
keyAlias key.propertiesの値
keyPassword key.propertiesの値
}
}
}
- ターミナルで以下のコマンドを実行し、リリースビルドを作成します。
bash
flutter build appbundle
build/app/outputs/bundle/release/app-release.aab
に、リリース用のAndroid App Bundleが生成されます。
1.2 iOSアプリのビルド
iOSアプリのリリースビルドを作成するには、以下の手順に従います。
- Xcodeで
ios/Runner.xcworkspace
を開きます。 - Product > Scheme > Edit Scheme を選択します。
- Run の Build Configuration を Release に変更します。
- Runner ターゲットを選択し、Signing & Capabilities タブを開きます。
- Automatically manage signing を有効にし、Team を選択します。
- Product > Archive を選択し、アーカイブを作成します。
- アーカイブが完了したら、Organizer ウィンドウが開きます。Distribute App をクリックし、App Store Connect へのアップロード、または IPA ファイルの書き出しを行います。
2. Google Play Storeへの公開
AndroidアプリをGoogle Play Storeに公開するには、以下の手順に従います。
2.1 開発者アカウントの作成
Google Play Storeにアプリを公開するには、Google Play Consoleの開発者アカウントが必要です。開発者アカウントを作成するには、GoogleアカウントでGoogle Play Consoleにアクセスし、登録料を支払います。
2.2 アプリ情報の登録
開発者アカウントを作成したら、Google Play Consoleでアプリ情報を登録します。
- 「すべてのアプリ」>「アプリを作成」を選択します。
- アプリのデフォルトの言語とタイトルを入力し、「作成」をクリックします。
- ストアの掲載情報ページで、アプリの説明、スクリーンショット、アイコンなどの情報を入力します。
- コンテンツのレーティングページで、質問票に回答し、アプリのレーティングを取得します。
- 価格と販売/配布地域ページで、アプリの価格と配布する国を設定します。
- アプリのリリース ページで、リリースの種類(内部テスト、クローズドテスト、オープンテスト、製品版)を選択し、リリースを作成します。
- リリースの作成ページで、Android App Bundle(.aabファイル)をアップロードします。
- リリースの詳細を入力し、リリースを公開します。
2.3 APK/AABファイルのアップロード
リリースを作成する際に、APKファイルまたはAABファイルをアップロードします。AABファイルは、Google Playがアプリを最適化して配信するために推奨されている形式です。
2.4 ストア掲載情報の作成
ストアの掲載情報ページでは、ユーザーがGoogle Play Storeで目にするアプリの情報を設定します。アプリの説明、スクリーンショット、プロモーション動画、アイコン、カテゴリなどを設定します。
3. App Storeへの公開
iOSアプリをApp Storeに公開するには、以下の手順に従います。
3.1 Apple Developer Programへの登録
App Storeにアプリを公開するには、Apple Developer Programへの登録が必要です。登録するには、Apple IDでApple Developer Programにアクセスし、年会費を支払います。
3.2 アプリ情報の登録
Apple Developer Programに登録したら、App Store Connectでアプリ情報を登録します。
- App Store Connectにアクセスし、「マイ App」を選択します。
- 「+」ボタンをクリックし、「新規App」を選択します。
- プラットフォームで「iOS」を選択し、アプリ名、プライマリ言語、バンドルID、SKUを入力し、「作成」をクリックします。
- アプリのページで、スクリーンショット、説明、キーワード、サポートURLなどの情報を入力します。
- 価格および配信状況ページで、アプリの価格と配信する国を設定します。
- 提出準備ページで、ビルドを追加し、その他の必要事項を入力します。
3.3 IPAファイルのアップロード
アプリのビルドをApp Store Connectにアップロードするには、XcodeのOrganizerを使用します。Organizerでアーカイブを選択し、「Distribute App」をクリックして、画面の指示に従います。
3.4 App Store Connectでの設定
App Store Connectでは、アプリのメタデータ、価格、配信地域、レーティング、カテゴリなどを設定します。また、アプリ内課金やGame Centerなどの追加機能を設定することもできます。
3.5 審査の提出
アプリの情報をすべて入力したら、審査のために提出します。「提出準備」ページで、「審査へ提出」をクリックします。Appleの審査チームがアプリを審査し、問題がなければ数日以内に公開されます。