もっとGitを使いこなすための応用編（後編）

前編では、cherry-pick や commit --amend、stash、tag、reflog、エイリアス設定など、Git の応用的な使い方を学びました。この後編では、さらに強力なコマンド rebase -i をマスターしましょう！

コミットをまとめよう（`git rebase -i`）

git rebase -i は、複数のコミットをまとめたり、順番を入れ替えたり、コミットメッセージを修正したりすることができる、非常に強力なコマンドです。-i は「対話的(interactive)」なリベースを意味します。

どんなときに使うの？

git rebase -i は、主に以下のような場合に使います。

複数の細かいコミットを、1つのまとまったコミットにしたい。
コミットの順番を入れ替えて、変更履歴をわかりやすくしたい。
過去のコミットメッセージを、より適切に修正したい。
不要なコミットを削除したい。

具体的な使用例と手順

ここでは、以下のコミット履歴を例に、git rebase -i の使い方を説明します。

* 9b2f8a1 (HEAD -> new-feature) Fix typo
* e5f7a3b Add details to new feature
* d4c8b2a Add new feature
* c7b4e5f Initial commit

このコミット履歴で、Fix typo、Add details to new feature、Add new feature の３つのコミットを、Add new feature and fix typo という一つのコミットにまとめてみましょう。

rebase -i の実行: まとめたいコミットの範囲を指定して、git rebase -i コマンドを実行します。ここでは、c7b4e5f のコミットは残して、それ以降の３つのコミットをまとめるために、以下のように実行します。

bash

git rebase -i c7b4e5f

このコマンドを実行すると、エディタが開き、以下のような内容が表示されます。

pick d4c8b2a Add new feature
pick e5f7a3b Add details to new feature
pick 9b2f8a1 Fix typo

# Rebase c7b4e5f..9b2f8a1 onto c7b4e5f (3 commands)
#
# Commands:
# p, pick <commit> = use commit
# r, reword <commit> = use commit, but edit the commit message
# e, edit <commit> = use commit, but stop for amending
# s, squash <commit> = use commit, but meld into previous commit
# f, fixup [-C | -c] <commit> = like "squash" but keep only the previous
#                    commit's log message, unless -C is used, in which case
#                    keep only this commit's message; -c is same as -C but
#                    opens the editor
# x, exec <command> = run command (the rest of the line) using shell
# b, break = stop here (continue rebase later with 'git rebase --continue')
# d, drop <commit> = remove commit
# l, label <label> = label current HEAD with a name
# t, reset <label> = reset HEAD to a label
# m, merge [-C <commit> | -c <commit>] <label> [# <oneline>]
# .       create a merge commit using the original merge commit's
# .       message (or the oneline, if no original merge commit was
# .       specified); use -c <commit> to reword the commit message
#
# These lines can be re-ordered; they are executed from top to bottom.
#
# If you remove a line here THAT COMMIT WILL BE LOST.
#
# However, if you remove everything, the rebase will be aborted.
#

コマンドの編集: エディタに表示された各行が、1つのコミットに対応しています。各行の先頭には、そのコミットに対して行う操作（コマンド）を指定します。
今回は、d4c8b2a Add new feature のコミットはそのままに（pick）、e5f7a3b Add details to new feature と 9b2f8a1 Fix typo のコミットを一つ前のコミットにまとめる（squash）ように編集します。
```
pick d4c8b2a Add new feature
squash e5f7a3b Add details to new feature
squash 9b2f8a1 Fix typo
```
エディタで上記のように修正したら、ファイルを保存してエディタを終了します。
squashを指定されたコミットは、その上のpickされたコミットにまとめられます。この例では、e5f7a3b Add details to new featureと9b2f8a1 Fix typoのコミットが、d4c8b2a Add new featureのコミットにまとめられることになります。
コミットメッセージの編集: エディタを閉じると、再度エディタが開き、新しいコミットメッセージを編集するように求められます。デフォルトでは、まとめられるコミットのメッセージがすべて連結された状態になっています。
```
# This is a combination of 3 commits.
# This is the 1st commit message:

Add new feature

# This is the commit message #2:

Add details to new feature

# This is the commit message #3:

Fix typo
```
不要なメッセージを削除し、新しいコミットメッセージを編集します。
```
Add new feature and fix typo

This commit adds a new feature and fixes a typo.
```
ファイルを保存してエディタを終了すると、リベースが実行され、コミットがまとめられます。
結果の確認:git log コマンドで、コミット履歴が変更されたことを確認しましょう。
bash
```
git log --oneline
```
```
* a1b2c3d (HEAD -> new-feature) Add new feature and fix typo
* c7b4e5f Initial commit
```
Add new feature、Add details to new feature、Fix typo の３つのコミットが、Add new feature and fix typo という一つのコミットにまとめられました！

注意点

git rebase -i は、コミット履歴を改変する 強力なコマンドです。そのため、以下の点に注意して使用する必要があります。

リモートリポジトリにプッシュしたコミットに対しては、rebase -i を使わない。 他の人がそのコミットを元に作業している場合、混乱を招く可能性があります。
rebase -i を使う前に、必ずブランチのバックアップを取っておく。 何か問題が発生した場合に、元の状態に戻せるようにしておくと安心です。
bash
```
git branch backup-new-feature
```
コンフリクトが発生する可能性がある。rebase -i を実行すると、途中でコンフリクトが発生する可能性があります。その場合は、「2.6 ブランチで実験しよう」で学んだコンフリクトの解決方法を参考に、手動でコンフリクトを解消する必要があります。