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大規模アプリケーションの設計

公開日:December 8, 2024更新日:December 8, 2024
ReactTypeScriptCoding📄

大規模なReactアプリケーションを開発する際には、コードの可読性や保守性を保ちながらスケールさせるための設計が重要です。本章では、コンポーネント構造やディレクトリ構造、型の再利用性、依存関係管理の観点から効率的な設計方法を解説します。

1. コンポーネント構造の設計

大規模アプリケーションでは、コンポーネントを整理しやすく、再利用しやすい構造を採用することが重要です。

Atomic Designの適用

  • 概要:
    • アトム、モレキュール、オーガニズム、テンプレート、ページの5つの階層に基づき、UIを分割します。
  • 適用例:
    • アトム: ボタン、入力フィールドなどの基本コンポーネント。
    • モレキュール: ボタンと入力を組み合わせた検索バー。
    • オーガニズム: ヘッダーやフォームなどの複合コンポーネント。
plaintext
src/
  components/
    atoms/
      Button.tsx
      Input.tsx
    molecules/
      SearchBar.tsx
    organisms/
      Header.tsx

Feature-Sliced Designの適用

  • 概要:
    • 機能や画面単位でフォルダを分けるアプローチ。
  • 利点:
    • 各機能が独立しており、スケールしやすい。
    • フォルダ構造が直感的で、新しい開発者にも理解しやすい。
  • 適用例:
plaintext
src/
  features/
    authentication/
      components/
      hooks/
      services/
    dashboard/
      components/
      hooks/
      services/

2. ディレクトリ構造のパターン

アプリケーション全体を見渡しやすいディレクトリ構造は、チーム全体の生産性を向上させます。

フラット構造

  • 特徴:
    • 小規模プロジェクト向け。
    • 全てのコンポーネントが1つのフォルダに収まる。
  • 利点:
    • 簡単。
  • 欠点:
    • 規模が大きくなると管理が困難。

機能ごとの分離

  • 特徴:
    • 機能ごとにフォルダを分ける。
  • 利点:
    • 機能単位で開発を進めやすい。
    • コンポーネントの見通しが良い。
  • 例:
plaintext
src/
  features/
    user/
      components/
      hooks/
    product/
      components/
      hooks/

ドメイン駆動設計 (DDD)

  • 特徴:
    • ビジネスドメインに基づいてフォルダを分ける。
  • 利点:
    • ビジネスロジックと密接に結びついており、拡張性が高い。
  • 例:
plaintext
src/
  domains/
    users/
      models/
      services/
      components/
    orders/
      models/
      services/
      components/

3. 型の再利用性と保守性

TypeScriptのユーティリティ型を活用することで、型定義を効率化し、再利用性を向上させることができます。

ユーティリティ型の活用

  • Partial:

    • オブジェクトの全てのプロパティをオプショナルにする。
    ts
    interface User {
      id: string;
      name: string;
      email: string;
    }
    
    const partialUser: Partial<User> = { name: "John" };
  • Pick:

    • 必要なプロパティだけを抽出する。
    ts
    const userSubset: Pick<User, "id" | "name"> = { id: "1", name: "John" };
  • Omit:

    • 指定したプロパティを除外する。
    ts
    const userWithoutEmail: Omit<User, "email"> = { id: "1", name: "John" };

型定義の集中管理

  • 型定義を専用のディレクトリにまとめる。
plaintext
src/
  types/
    User.ts
    Product.ts

4. コンポーネント間の依存関係管理

依存関係が複雑になると、アプリケーションの保守性が低下します。以下の方法で依存関係を管理します。

グローバル依存の最小化

  • 必要以上にグローバル状態に依存しない。
  • ContextやReduxを適切に使用する。

Props Drillingの回避

  • 状態を深い階層に渡す代わりに、Contextや状態管理ライブラリを活用する。

カプセル化の徹底

  • コンポーネントを小さな責務に分割し、再利用可能にする。
  • 内部実装を隠蔽し、明確なインターフェースを提供する。

依存関係の可視化

  • ツールを活用して依存関係を視覚化する。

大規模アプリケーションの設計は、チームの生産性とアプリのスケーラビリティに直結します。本章で紹介した方法を参考に、自身のプロジェクトに適した設計を選びましょう。