前編では、VS Code 拡張機能、PurgeCSS、JIT モードといった、Tailwind CSS の開発効率を高めるためのツールや機能を紹介しました。後編では、Tailwind CSS を他のフレームワークやライブラリと組み合わせて使う方法、公式 UI キットである Tailwind UI の活用方法、そして最後に Tailwind CSS に関するコラムをお届けします。
4. 他のフレームワークやライブラリとの組み合わせ
Tailwind CSS は、単体でも強力な CSS フレームワークですが、他の JavaScript フレームワークやライブラリと組み合わせることで、さらに強力な Web アプリケーションを開発することができます。
React との組み合わせ
React は、ユーザーインターフェースを構築するための人気の JavaScript ライブラリです。Tailwind CSS と React は非常に相性が良く、多くの開発者に利用されています。
React で Tailwind CSS を使うには、まず create-react-app
などを使って React プロジェクトを作成します。
bash
npx create-react-app my-react-tailwind-app
cd my-react-tailwind-app
次に、Tailwind CSS とその依存関係をインストールします。
bash
npm install -D tailwindcss postcss autoprefixer
npx tailwindcss init -p
あとは、前述の手順で Tailwind CSS を設定し、React コンポーネント内で Tailwind CSS のユーティリティクラスを使うだけです。
jsx
// src/App.js
import './App.css'; // Tailwind CSS を読み込む
function App() {
return (
<div className="container mx-auto p-4">
<h1 className="text-3xl font-bold text-center">Hello, Tailwind CSS with React!</h1>
<button className="bg-blue-500 hover:bg-blue-700 text-white font-bold py-2 px-4 rounded mt-4">
Click me
</button>
</div>
);
}
export default App;
Vue.js との組み合わせ
Vue.js も、ユーザーインターフェースを構築するための人気の JavaScript フレームワークです。Tailwind CSS は Vue.js とも問題なく組み合わせることができます。
Vue.js で Tailwind CSS を使うには、まず Vue CLI を使って Vue.js プロジェクトを作成します。
bash
vue create my-vue-tailwind-app
cd my-vue-tailwind-app
次に、Tailwind CSS とその依存関係をインストールします。
bash
npm install -D tailwindcss postcss autoprefixer
npx tailwindcss init -p
あとは、前述の手順で Tailwind CSS を設定し、Vue コンポーネント内で Tailwind CSS のユーティリティクラスを使うだけです。
vue
<template>
<div class="container mx-auto p-4">
<h1 class="text-3xl font-bold text-center">Hello, Tailwind CSS with Vue.js!</h1>
<button class="bg-blue-500 hover:bg-blue-700 text-white font-bold py-2 px-4 rounded mt-4">
Click me
</button>
</div>
</template>
<script>
export default {
name: 'App',
};
</script>
<style>
/* Tailwind CSS を読み込む */
@import './index.css';
</style>
その他のフレームワークやライブラリ
Tailwind CSS は、Angular、Svelte、Next.js、Nuxt.js など、他の多くのフレームワークやライブラリとも組み合わせることができます。
Tailwind CSS は、特定の JavaScript フレームワークに依存しないため、様々な技術スタックに柔軟に組み込むことができるのが大きな強みです。
5. Tailwind UI などの公式 UI キットを活用しよう(オプション)
Tailwind UI は、Tailwind CSS の作者が開発した、美しくデザインされた UI コンポーネント集です。Tailwind UI を使えば、Tailwind CSS のユーティリティクラスを組み合わせて作られた、洗練された UI コンポーネントを簡単に利用することができます。
Tailwind UI は有料ですが、購入する価値は十分にあります。以下のようなメリットがあります。
- 時間を節約できる: Tailwind UI には、ヘッダー、フッター、フォーム、カード、ナビゲーションなど、Web サイトでよく使われる UI コンポーネントが豊富に用意されています。これらのコンポーネントを使うことで、デザインやコーディングの時間を大幅に節約できます。
- デザインの質が向上する: Tailwind UI のコンポーネントは、プロのデザイナーによってデザインされているため、非常に高品質です。Tailwind UI を使うことで、デザインの知識が浅い方でも、簡単に美しい UI を構築することができます。
- Tailwind CSS の学習に役立つ: Tailwind UI のソースコードを見ることで、Tailwind CSS のベストプラクティスを学ぶことができます。
Tailwind UI の他にも、以下のような UI コンポーネント集があります。
- Headless UI: Tailwind CSS の作者が開発した、スタイルを持たない UI コンポーネント集。ロジック部分のみを提供し、スタイルは自分で自由にカスタマイズできます。
- DaisyUI: Tailwind CSS ベースの人気コンポーネントライブラリ。
- Flowbite: オープンソースの Tailwind CSS コンポーネントライブラリ。
- Tailwind Elements: Tailwind CSS ベースの UI キットで、マテリアルデザインにインスパイアされたコンポーネントを提供。
これらの UI コンポーネント集を活用することで、Tailwind CSS を使った開発をさらに効率化することができます。
コラム:Tailwind CSS ってどうやって生まれたの?
Tailwind CSS は、2017 年に Adam Wathan によって開発されました。Adam は、それまでにも Refactoring UI という、UI デザインに関する書籍やコースをリリースしており、多くの開発者から支持されていました。
Adam が Tailwind CSS を開発したきっかけは、彼自身が Web 開発を行う中で感じていた、従来の CSS フレームワークに対する不満でした。Bootstrap のようなコンポーネントベースのフレームワークは、確かに便利ですが、デザインの自由度が低く、カスタマイズも難しいという問題がありました。また、CSS を直接書く場合でも、BEM のような命名規則を使って CSS を構造化していくのは、手間がかかり、冗長になりがちでした。
そこで、Adam は「ユーティリティファースト」という新しいアプローチを考案しました。これは、小さな部品となるクラスを多数用意し、それらを組み合わせてスタイルを構築していく方法です。このアプローチにより、デザインの自由度が高く、かつ CSS を効率的に書くことができるようになりました。
Tailwind CSS は、リリースされるとすぐに多くの開発者から注目を集め、現在では最も人気のある CSS フレームワークの一つとなっています。その人気の理由は、やはり「ユーティリティファースト」という革新的なアプローチと、開発効率の高さにあると言えるでしょう。
Tailwind CSS の成功は、Adam の先見性と、開発者コミュニティの力強いサポートによるものです。今後も、Tailwind CSS は Web 開発の世界で重要な役割を果たしていくことでしょう。