さあ、プログラミングの世界への最初の一歩を踏み出しましょう!Pythonの素晴らしいコードを書き始める前に、すべての準備を整える必要があります。このセクションでは、Pythonのインストール方法とプログラムを書くための適切な環境("開発環境")の選び方について説明します。
1. Pythonのインストール
Pythonを使うには、まずお使いのコンピュータに"Pythonインタープリタ"をインストールする必要があります。"インストール"という言葉が少し怖いと感じるかもしれませんが、実際にはとても簡単です!以下の手順に従えば、すぐに使えるようになります。
PythonはWindows、macOS、LinuxなどさまざまなOSで動作します。それぞれのインストール手順を見ていきましょう。
Windowsでのインストール
公式サイトからインストーラをダウンロード: Pythonの公式サイト(https://www.python.org/downloads/)にアクセスします。"Download Python 3.xx.x"と書かれたボタンが見つかるはずです(xx.xはバージョン番号です)。それをクリックしてインストーラをダウンロードしてください。
インストーラを実行: ダウンロードしたファイル(例:
python-3.xx.x.exe
)をダブルクリックしてインストールを開始します。インストール設定:
- "Add Python 3.xx to PATH"というチェックボックスに必ずチェックを入れてください。これにより、後でコマンドプロンプトからPythonを簡単に実行できるようになります。
- デフォルト設定でインストールする場合は"Install Now"をクリックしてください。
- インストール場所やその他の設定を変更したい場合は"Customize installation"を選択できます。
インストール完了: インストールが完了するまで少し待ちます。"Setup was successful"というメッセージが表示されれば成功です。
macOSでのインストール
macOSにはPythonがプリインストールされていることがありますが、多くの場合は古いバージョンです。したがって、最新バージョンをインストールすることをお勧めします。
公式サイトからインストーラをダウンロード: Windowsの場合と同じように、公式PythonサイトからmacOS用インストーラをダウンロードします。
インストーラを実行: ダウンロードしたファイル(例:
python-3.xx.x.pkg
)をダブルクリックします。インストール: 画面の指示に従い、「続ける」をクリックしていきます。特に難しい設定はありません。
インストール完了: インストールが完了すると"Installation was successful"というメッセージが表示されます。
Linuxでのインストール
Linuxでは、ディストリビューションのパッケージマネージャを使ってPythonをインストールするのが一般的です。具体的なコマンドはディストリビューションによって異なりますが、以下に代表的な例を挙げます。
Debian系(例: Ubuntu):
bashsudo apt update sudo apt install python3
Red Hat系(例: Fedora):
bashsudo dnf update sudo dnf install python3
Arch系:
bashsudo pacman -Syu sudo pacman -S python
これらのコマンドをターミナルで実行すると、Pythonがインストールされます。
2. 開発環境の選択
Pythonをインストールしたら、次は"開発環境"を選びましょう。ここはPythonのコードを書く場所になります。デジタルアートを作成するためのキャンバスと絵の具のようなものです!
開発環境には大きく分けて"テキストエディタ"と"IDE(統合開発環境)"の2種類があります。
シンプルなテキストエディタ
テキストエディタは、文字を書くための基本的なツールです。WindowsのNotepadやmacOSのTextEditが例として挙げられます。
- 利点: 軽量で起動が非常に速い。
- 欠点: プログラミングに特化した機能がないため、コーディングが少し難しく感じるかもしれません。
人気のあるテキストエディタ:
- Visual Studio Code(VS Code): Microsoftが提供する強力かつ軽量なエディタ。拡張機能が豊富で、Python開発が非常に快適になります(後述のIDEとしても使用可能)。
- Sublime Text: 高速でカスタマイズ性が高いエディタ。
- Atom: GitHubが開発したおしゃれなエディタ。
- Vim、Emacs: 経験豊富なプログラマーに人気のターミナルベースのエディタ。
高機能なIDE(統合開発環境)
IDEはプログラミングのためのオールインワンパッケージです。コードの記述、実行、デバッグ(エラーの修正)などをすべて一つの場所で行えます。
- 利点: 開発プロセスを効率化する機能が豊富。
- 欠点: リソースを多く消費する場合があり、完全に使いこなすには時間がかかることも。
人気のあるPython用IDE:
- PyCharm: JetBrainsが開発したPython専用のIDE。プロフェッショナル向けの環境で、優れたデバッグ機能を持ちます。無料のCommunity版と有料のProfessional版があります。
- VS Code: 前述の通り、拡張機能を追加することで本格的なIDEとしても利用可能です。
インタラクティブモードで始めよう!
Pythonが正しく動作しているかを確認するために、"Hello, World!"を画面に表示してみましょう。
開発環境をまだ決めていなくても問題ありません!Pythonの"インタラクティブモード"を使えば、すぐにPythonを試せます。インタラクティブモードではコマンドを直接入力して、その結果を即座に確認できます。まるで計算機のように手軽で、テストに最適です。
インタラクティブモードの起動方法:
- Windows: コマンドプロンプトを開き、
python
またはpy
と入力してEnterを押します。 - macOS/Linux: ターミナルを開き、
python3
と入力してEnterを押します。
python
Python 3.11.4 (main, Jun 24 2023, 10:00:00) [Clang 14.0.6 ] on darwin
Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information.
>>>
このような画面が表示されれば、インタラクティブモードが正常に起動しています。>>>
はPythonがコマンドを待っていることを示すプロンプトです。簡単な計算を試してみましょう:
python
>>> 1 + 1
2
>>> 10 * 5
50
結果が即座に表示されます。これがインタラクティブモードの魅力です!
インタラクティブモードで"Hello, World!"を表示する:
次に、以下のコマンドを入力してEnterを押してみましょう:
python
>>> print("Hello, World!")
Hello, World!
画面にHello, World!
と表示されましたか?これでPythonが正常に動作していることが確認できました。
初めてのプログラムを書く
次に、以下のプログラムをテキストエディタやIDEに書いてみましょう:
python
print("Hello, World!")
プログラムの実行方法
プログラムの実行方法は、選択した開発環境によって少し異なります。以下に一般的な方法を示します:
ファイルを保存して実行する
ほとんどのエディタやIDEでは、コードをファイルに保存してから実行できます。
ファイルを保存: 書いたコードを保存します。ファイル名を
hello.py
のように付けてください(.py
拡張子がPythonファイルを示します)。実行:
- エディタ/IDE内で: 多くのエディタやIDEにはコードを実行するための組み込み機能があります。例えば、VS Codeでは画面上部の"Run"メニューから"Run Without Debugging"を選択できます。
- ターミナル/コマンドプロンプトから: エディタやIDEを使わずに直接実行することもできます。
ターミナル/コマンドプロンプトを使用
ターミナルやコマンドプロンプトを使用すると、Pythonプログラムを柔軟に実行できます。
正しいディレクトリに移動: 最初に、保存したプログラムがあるディレクトリ(フォルダ)に移動する必要があります。
cd
コマンドを使ってディレクトリを変更します。例えば、Documents
フォルダ内のPython
というフォルダにプログラムがある場合は、cd Documents/Python
と入力してEnterを押します。
プログラムを実行: 正しいディレクトリに移動したら、以下のコマンドでプログラムを実行します:
- Windows:
python hello.py
またはpy hello.py
- macOS/Linux:
python3 hello.py
- Windows:
プログラムの出力がターミナルまたはコマンドプロンプトに表示されます。
3. 最初のプログラムを書いてみよう (数当てゲーム)
これまで対話モードで Python に触れてきましたが、ここからは本格的にプログラムを書いてみましょう! 最初のプログラムとして、簡単な「数当てゲーム」を作ってみます。
ゲームのルール
- コンピュータが 1 から 100 までのランダムな数を 1 つ決めます。
- プレイヤーは、コンピュータが決めた数を予想して入力します。
- コンピュータは、プレイヤーの入力に対して「もっと大きい」「もっと小さい」「正解!」のいずれかのヒントを出します。
- プレイヤーはヒントを頼りに、正解を当てたらゲームクリアです。
コードを書いてみよう
まずは、以下のコードをエディタにコピー&ペースト、または入力して、number_game.py
という名前で保存してください。
python
import random
def play_number_guessing_game():
number = random.randint(1, 100)
print("1から100までの数を当ててみて!")
while True:
try:
guess = int(input("予想した数は?: "))
except ValueError:
print("数字を入力してください。")
continue
if guess < number:
print("もっと大きいよ!")
elif guess > number:
print("もっと小さいよ!")
else:
print(f"正解! {number} でした!")
break
if __name__ == "__main__":
play_number_guessing_game()
コードの解説
このコードは、大きく分けて 3 つの部分から構成されています。
- 準備:
import random
:random
というモジュールを読み込んでいます。これは、ランダムな数を作るために必要です。def play_number_guessing_game():
: ゲームのメイン部分を関数として定義しています。def
は関数を定義する時に使うキーワードです。
- ゲームの進行:
number = random.randint(1, 100)
: 1 から 100 までのランダムな整数を 1 つ作り、number
という変数に代入しています。while True:
:while
は、条件がTrue
の間、ずっと処理を繰り返すための命令です。ここではTrue
を指定しているので、break
で抜け出すまで無限に繰り返されます。try...except
: エラー(例外)が発生した時の処理を記述するための構文です。guess = int(input("予想した数は?: "))
: プレイヤーに数の入力を促すメッセージを表示し、入力された値を整数に変換してguess
に代入しています。もし数字以外が入力されるとValueError
が発生するので、それをexcept
でキャッチしてエラーメッセージを表示し、continue
でループの先頭に戻ります。if guess < number:
,elif guess > number:
,else:
:if
,elif
,else
を使って、guess
とnumber
の大小関係を比較し、それに応じたヒントやメッセージを表示しています。break
:while
の繰り返し処理を強制的に終了します。
- ゲームの開始:
if __name__ == "__main__":
: この部分は、このファイルが直接実行された時にだけ、その中の処理を実行するための「おまじない」です。play_number_guessing_game()
: 上で定義したゲームの関数を呼び出して、ゲームを開始します。
4. プログラムの実行方法 (数当てゲーム)
number_game.py
を保存したら、以下の手順で実行してみましょう。
- ターミナル/コマンドプロンプトを開く: Windows ならコマンドプロンプト、macOS/Linux ならターミナルを開きます。
- ファイルが保存されているディレクトリへ移動:
cd
コマンドを使って、number_game.py
を保存したディレクトリに移動します。 - プログラムを実行:
- Windows の場合:
python number_game.py
またはpy number_game.py
と入力して Enter キーを押します。 - macOS/Linux の場合:
python3 number_game.py
と入力して Enter キーを押します。
- Windows の場合:
ゲームが開始されたら、コンピュータが決めた数を当ててみてください!